上質でシンプルな空間に周密精到のこだわりが満載
わかる人にはわかる。細部まで美しく、清淡な空間デザイン。凛とした気品とともに、木の温もりに溢れた自然豊かな家。日本を代表する建築家・伊礼智氏が手掛ける家には、心地良さのエッセンスと、徹底されたこだわりがたっぷり込められている。「他の物件より図面が多く、一本一本の細かい線も綿密に突き詰められ、正直驚きました。一見シンプルな空間に見えるかもしれませんが、そこには余分なものを排除するための追及がなされているんです」と古栁。原武も「和モダンの雰囲気に合わせて底には砂利を敷き、リビングから眺められる紅葉のシンボルツリーを設置。昔ながらの奥ゆかしさを感じる空間です」と語る。
建物面積はコンパクトなのに開放感とゆとりを放つ美空間
29.5坪と比較的小さな家だが、実際に足を踏み入れると開放感が大きく、ゆったりとした気持ちになるのはなぜ?「窓や天井の高さ、そして使われている素材に、奥行きのあるデザインが施されているんです。また施工面積を抑える代わりに、使用する素材や外構に力を入れているので、それが"ゆとり"の現われになっているのでは」と原武。「伊礼さんの長い経験に基づく、審美眼に叶う材木と信頼できる素材の集大成です。木は国産の杉とヒノキを中心に、さらに節のないものが使われています。すっきりと洗練感のある、上質な佇まいですよね」と古栁。