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ものづくりへのこだわりが生む、
徹底して使いやすいキッチン。
キッチンから始まる家族の幸せ
どうなる?どうする?これからキッチン。
以前から「キッチン」にこだわるお客様は、数多くいらっしゃいました。
けれど、今またあらためて、キッチンのことをとても大事に考えるお客様が増えていると実感します。
それはつまり、キッチンで過ごす時間、そこで生まれる家族の体験がとてもとても大切なものであることに気づく方々が増えていることだと思うのです。そこでホームラボでは、私たちが信頼するキッチンメーカーの方々に、「これからのキッチン」についてお話を聞いてみることにしました。「家族のしあわせ」のためになるキッチンとは、はたして?
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徳富 意外と知らない方もいらっしゃるかも しれないんですが、TOTO さんは、 地元・福岡の企業なんですよね。
長沼 もともと「日本陶器」という会社だったんです。そこの製陶研究所を独立させるかたちで、 1917 年に北九州市の小倉に「 東洋陶器」を設立したんですね。
徳富 北九州の地を選んだのは、 どんな理由からだったんでしょうか。
長沼 当時はまだ、陶器を焼く燃料が石炭だったんです。北九州は筑豊の炭田が近いので、石炭の供給がしやすかった。それに加えて小倉には港がありますので、陶器の材料を中国や朝鮮半島から取り入れやすかったんですね。もちろん、港から製品を輸出することもできる。そういった点をふまえて、北九州小倉の地が選ばれたわけです。
徳富 TOTO さんというと、 やはり「ウォシュレット」が印象的ですが、 あれは世界初だったんですか。
長沼 もともとアメリカで 痔の手術をした患者さん向けに 開発されていたものがあったんです。 その輸入代行を私どもが行っていたんですが、もっとお客様に満足していただくために、色々なアイデアを出して、自分たちで開発するようになったんです。
例えば、水じゃなくてお湯で洗おうとか、便座も暖房付きにしようとかですね。
徳富 僕がTOTO さんに抱くイメージというのは、そういった付加価値付けなどを 何でも最初にやる企業というか、技術力が高いイメージがあるんですよ。ものづくりに対してガンコ、というか。
長沼 確かに、伝統的に ものづくりに対するこだわりがありますね。
ある機能だけの研究を続ける ドイツのマイスターのような人もいますし。
「こうじゃないとお客様が満足しない」という ものづくりに対するこだわりが受け継がれて、 ウォシュレットやお風呂、そしてキッチンづくりに活かされていますね。 実際、TOTO の品質基準というのは、JIS(日本工業規格)の基準より かなり厳しい基準になっています。
徳富 そういう意味では、TOTO さんの商品は 安心してすすめられるんですよね。
例えば、汚れのつきにくい「 セフィオンテクト(※)」のような技術ですね。他では真似できない技術、他では気づかない ところを商品化されてますよね。
※TOTO が独自に開発した防汚技術
長沼 「セフィオンテクト」の開発の背景は2 つあります。
1 つは、「汚れがつきにくい」という お客様側からのご要望ですね。もう1 つは、「節水」です。
より少ない水で汚れを落とすというエコ発想ですね。
徳富 これも画期的な技術だと思ったのが、「 魔法瓶浴槽」つまり「断熱浴槽」ですね。これもTOTO さんが最初ですよね。
長沼 そうです。お風呂でも技術にこだわるということで、お客様の「少しでも保温の時間を長くしたい」というご要望に応えるかたちで開発しました。 今の時代は単にいいものを 作れば売れるという時代でもありません。お客様に少しでも多く 満足を感じていただきたいという想いで、開発をしているということですね。
徳富 「断熱浴槽」を初めて見たときは、こんなにいいものが何で今までなかったんだろうと思ったんです。
まさにコロンブスのタマゴ的な発想。 国の色々な省エネ基準が出来てきてますけど、その中に「断熱浴槽かどうか」という基準が入っているわけです。これはTOTO さんの功績ですよね。
実際、給湯は家のエネルギーの1/3 を占めていますよね。
とくにお風呂は、1 回ためると300 リットル位を使ってしまいますからね。弊社でもほぼ100%のお客様が、魔法瓶浴槽をお選びになっています。
長沼 そこはまさにホームラボ様のコンセプトである、「建てられた家にライフスタイルを合わせるのではなく、ライフスタイルに住まいを合わせる」ということにつながっていると思います。
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徳富 これも一般の方には意外と知られてないかもしれませんが、TOTO さんはキッチンもすごく優秀なんです。
掃除のしやすさや使い勝手が本当によく考えられてるなあと思うんですよ。とくに、うちのお客様に大人気なのが「スーパークリーンフード」という換気扇のフードですね。これはすごい。
掃除がとてもしやすいんですよね。
長沼 私どものキッチンのキーワードは「女性」なんです。
少ない家事の時間の中で、いかにカンタンでラクに掃除ができるか。なおかつデザインが良くて、使い勝手もいいという点を基本コンセプトとしました。ホームラボ様に標準採用していただいている「クリスタルカウンター」というのも、女性の憧れをかたちにしたもののひとつです。
徳富 あのクリスタルカウンターは、従来の人造大理石やステンレスなどとは全く違うデザインの提案だと思いました。
技術的にも難しいと思いますので、他ではちょっと真似できないでしょうね。
長沼 実は、クリスタルカウンターのキッチンは、あのクオリティの満足感がきちんとお施主様に伝わる家づくりを実現してくださるビルダー様だけをセレクトして、提案させていただいているんです。
徳富 それはうれしいですね。
長沼 ホームラボ様のホームページや社長の本などを拝見したり、実際に建てられた現場を見せていただいて、家づくりのコンセプトに共感したんです。 このコンセプトなら、うちの商品を採用していただければ、お施主様の満足度は100%以上になるんだという自信がありました。
徳富 キッチンの標準仕様で採用させていただいているもので言えば、「アルカリ7」という浄水器があります。
普通はだいたい1 年でカートリッジを交換しないといけないんですが、TOTO の「アルカリ7」は約7 年間も交換の必要がないんですね。
長沼 「アルカリ7」のポイントは2 つあって、1 つはキッチンの中に組み込んで目立たなくしたデザインです。
もう1 つは、カートリッジを夜に必ず沸騰消毒するという発想です。
これでカートリッジの寿命を大幅に伸ばすことができました。
徳富 今はほとんどの家庭が共働きで、家族でふれあう時間は、家事をしながらとかそういう時間になってしまいます。
だから、家事そのものを楽しくするということが重要になってきます。TOTO さんの場合、そういったコンセプトで開発された商品が多いんですよね。
そこが当社のコンセプトとばっちり合ったんですね。
長沼 例えば、新築されて5 年位のお宅にお住まいの女性の方をはじめ、私どもでは商品開発にあたってさまざまな調査をしています。その中で、やはり働く女性の家事負担の軽減というニーズが大きいんですね。
そこをしっかり考えて、商品開発につなげています。
小物を収納できる使い勝手のいい洗面、お風呂のお湯を保温できる断熱浴槽、汚れがつきにくいシンクやお掃除がしやすいレンジフードのキッチンなど、働く女性の家事を軽減するとともに節水、節電のエコ機能のある商品を組み合わせて、ホームラボ様にご提案しています。
徳富 本当にTOTO さんは、ものすごく市場調査をきちーっとやって、それをすくい上げて、毎年テーマをもって商品開発してらっしゃいますからね。すごいなと思います。
長沼 ホームラボ様にご提案する中で、エコ、環境に配慮した商品というコンセプトのほかに、あらゆる人に使いやすい「ユニバーサルデザイン」というコンセプトもあります。
徳富 TOTO さんが考えるこれからの水回り機器のあり方といいますか、総合企業としての社会への展望などをお聞きしたいのですが。
長沼 TOTO と言えども、1 つの器具、水回り機器としてのメーカーなんです。機器だけでは住まいは生まれませんから、私どもとしては、価値を共有できるビルダー様、住宅会社様と一緒に「共業」していきたいというのが今後の大きな柱です。なぜならば、「TOTO の商品はこれだけ優れています」といくら自信を持ってお伝えしても実際に建てられた家のデザインや施工管理が不安定だと、お客様にご不満が生まれる場合があります。
ですから、私どもが信頼できるビルダー様と「共業」して、お客様の手に届くまできちんとさせていただく。
そこにはじめて、お客様の感動が生まれると考えています。
徳富 TOTO さんは、いわば大企業ですので、きちんとしたマーケティングをベースにした商品開発という点で優れていますよね。
うちの場合は、「こんなものを世に出したい」という自分たちの想いをベースにつくっています。だから、お互いうまく協力ができると思うんです。TOTO さんの、市場開発をもとにした商品が出てくる。
それをもとに僕らはこの世にない住まいを考える。
これを組み合わせて、それぞれのご家族ごとで違うライフスタイルに応えていく。こんなふうにしてつきあっていければ、大企業と中小企業とが一緒に協力してやっていけるんだなあって実感しています。
長沼 ホームラボ様のお施主様は、私どものショールームにもよくいらっしゃるんですが、家づくりへのこだわりをお持ちの方が多いんです。ですから私たちも、きっちりマーケティングにもとづいてつくった商品を、それぞれのお施主様のライフスタイルに合わせてチョイスしてご提案する。ホームラボ様と一緒に、こだわりの家づくりをお手伝いするという姿勢で臨ませていただいています。
徳富 僕らも、TOTO さんのつくる設備機器にこめられたいろんな想いをくみ取って、設計の方へ落とし込まないといけないんですよね。ある意味、勝負しています(笑)。
それが面白いんです。響き合うものがあるんですね。
長沼 お客様のライフスタイルにあわせて、ものづくりをするという思想は、同じですからね。
●TOTO 株式会社(http://www.toto.co.jp/)
TOTO 株式会社 久留米営業所 所長 長沼洋さん
1917 年、日本陶器合名会社から衛生陶器部門を独立し、北九州市小倉に「東洋陶器株式会社」として創立。
「ウォシュレット」や「カラリ床」など時代に先がける商品を次々に開発。
妥協を許さない職人気質のものづくりと徹底したマーケティングで、水まわり機器全般をリードしつづけている。